今回は芥川賞にノミネートされた作品、「音に聞く」と
その執筆者である高尾長良さんに関してご紹介していきます。
本職のお医者さんが書いた芥川賞作品ということで世の中では話題になっています。
高尾長良先生とはどういった人物なのか?
また、『音に聞く』とはどういった作品なのか?余すことなくご紹介していきます。
高尾長良とはどんな人物なのか?
それではさっそく自身の作品『音に聞く』で
令和1年の芥川賞にノミネートされた高尾長良さんに関してご紹介します。
高尾長良さんは本職の医者であり、小説家でもあります。
1992年生まれの現在27歳の年です。
2012年、『肉骨茶』で第44回新潮新人賞を受賞。
20歳での受賞は新潮新人賞史上最年少でした。
2013年『肉骨茶』が第148回芥川龍之介賞候補作。
2014年『影媛』が第152回芥川賞候補。
2017年度、京都市芸術文化特別奨励者となりました。
過去執筆した作品はすべて入賞を果たすという快挙を成し遂げております。
そんな、異色の実績を上げている高尾長良先生ですが、
現在は本職の医者をしながら小説を書いているようです。
もともとは東京都の出身で高校は神戸女学院高校、
京都大学医学部に通う超エリート医者でした。
現在は京都のいわくら病院で精神科医として勤務しているという情報もあります。
高尾長良執筆 芥川賞候補【音に聞く】
そんな高尾長良先生が執筆した芥川賞にノミネートされた
今作品【音に聞く】とはどんな作品なのでしょうか?
“言葉か、音か―。作曲に天賦の才をみせる15歳の妹。
母語から離れ、自らの言語表現を模索する姉。”
今作は音楽の都ウィーンを舞台に繰り広げる愛憎劇が主題となっているようです。
今作の内容は実際に読んでいただくとして、呼んだ人の感想を見ていきましょう。
芥川賞候補、髙尾長良さんの『音に聞く』も読みました。最初の2~3ページは何故か入り込めなくて、4、5回読み直しましたが、その後は一気に進みました。音と言葉、そしてその2つでは割り切れないもの。英語の講師をしていることもあり、興味深い内容でした。#髙尾長良 #音に聞く
— 宮下 卓也(英文読解のオキテ55) (@tky616) 2019年12月20日
高尾長良先生の『音に聞く』が芥川賞候補に!
選考委員に石原慎太郎先生がいないのでチャンスは多少あると思います
宮本輝先生には酷評されるでしょうけど今後も我が道を書け抜けてほしい小説家
全文読んだ候補作がこれだけなので予想は困難ですが、千葉雅也先生と”文学の鬼”古川真人先生のW受賞かなあ https://t.co/8HJ9avWQc0— 諸隈元シュタイン (@moroQma) 2019年12月17日
高尾長良「音に聞く」(文學界9月号)を読んだ。なんだかんだあっても、結局のところ、有智子によって20年前に書かれた手記が存在していることに密かに感動してしまった。「Wort oder Ton」(言葉か音か」を体現するような姉妹がウィーンで言葉でも音でもないもの(声?) を見い出す物語、ざっくり書くと。
— 海尋 (@MihiroMer) 2019年10月2日
高尾長良「音に聞く」は、音楽的天才の妹と言語能力に優れた姉の物語。《姉妹》というテーマを最後まで響かせつつ、パフォーマティヴにも言葉の音を読者に意識させる妙技が光る。他に「速度」と「眼差し」という切り口から語られる千葉雅也「デッドライン」や中村たまら「海の時計」も取り上げました。
— 小川公代 (@ogawa_kimiyo) 2019年9月30日
実際に読んだ方々にとってはいい反響で、
さらに芥川賞候補の中でもかなりの高評価を受けているような様子です。
高尾長良執筆作品とその反響
それでは、高尾長良先生の過去の執筆作品に関してその反響を見ていきましょう。
肉骨茶
先ず一つ目は高尾長良先生のデビュー作である【肉骨茶】から。
今回は実際の芥川賞の公式選評から抜粋します。
「限られた登場人物と舞台設定、人格をひっくり返して見せる物語性、
そして何より「食べる」ということを通して表現される身体感覚は、
作者が将来、強く魅力的な作品を生み出すだろう予感を与えた。」(高橋 のぶ子)
「全体に固い文章で、意識的な反復のわずらわしさもあるけれど、
十七歳の少女の妄想的な部分が、彼女自身の名(赤猪子)の響きに、
そして言葉の煮詰まりそのものに救われている。
また、同時に煮こごりの食感も残る。」(堀江 敏幸)
影姫
二つ目は二作目の【影姫】
「地の文と会話文を意識的に違えていて、それが上手く行っているかと言えば、
影媛のあわれを伝えるには会話文が障壁になっている。日本語の冒険が目的なのだろうか。
古代特有な獣と血の臭いが濃く漂ってくるだけに、惜しかった。」(高橋 のぶ子)
「古代文学によりかかった地の文と会話文の硬軟の配合に
雲母のきらめきと冒険が認められる一方、集めた言葉と言葉のつなぎが堅すぎて、
翡翠色の羽を持つ鳥の嘴がそこに入っていかない。」(堀江 敏幸)
やや厳しめな評価と感じるかもしれませんが、天下の芥川賞。
厳しいのは当然ながら20代の若さかつデビュー作と
二作目の連続で芥川賞の候補に上がっただけでもすごい評価です。
また、厳しくも一定の評価はされている印象もありますので、
今回ノミネートされた『音に聞く』を含め今後の活躍にも期待が持てます。
○まとめ
今回は2019年芥川賞候補にノミネートされた【音に聞く】と
その作者の高尾長良さんに関してご紹介しました。
20代でありながら過去3作すべて芥川賞ノミネート、
そして本職の医者を続けながらという天才作家に更なる期待が寄せられています。
芥川賞の発表は翌年1月15日に行われます。
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